メンバーの就労について

現在、隣町の小規模作業所と、石越病院で働いています。

 サンハイツのある町には作業所があります。
 選択の余地がなくてメンバーには申し訳ないのですが、就労先があるだけでも幸いだと思っています。
 ただ、今のところ仕事内容が細かな内職であることも多く、根気の続かないメンバーや、目の不自由な
 メンバーなどには不向きかもしれません。現在サンハイツのメンバーは、病院の職親と作業所のどちら
 かを選択しています。昨年、お互いの仕事を交換して体験しあい再度選択してもらいましたが、やはり
 最初のままで良いという人がほとんどでした。ちなみに職親としては週3回、患者私物(洗濯した衣類)
 を個人個人に区分けしてたたんでいます。
 しかし、職親を使っている一人が作業所に興味を示し、ボランティアとして作業所に出かけたり、行事に
 参加したりするという事も始めました。
 
 のぞみハイツのメンバーは、とりあえず石越病院でアルバイトをしています。
  お金がない!!!でもちょっと書きましたが、GHに入居しても他に働く場が今のところありません。
 選択の余地はサンハイツ以上になく、大変心苦しく思っています。その代わり、仕事内容は数種類あり、
 上記の洗濯物をたたむほか、病院内外の清掃作業や畑作業(農業)等を交代で行っています。
 こちらも多少なりとも自己選択出来るようにしてあり、メインの仕事は自分で決めてもらっています。
 人手が足りないときに手伝ってもらう人材派遣のような形を併用していますが、今のところ、何とか機能
 しています。  

では、メンバーはこのことをどう思っているでしょうか?

 まずは作業所メンバー
 昔、別な町の作業所に通ったことがあり、そちらの方がきれいでお金も多くもらえた。
 それに、一緒に通っていたメンバーが入院してしまい、GHから自分だけのけ者になったような気がする
 ときがある。全然知らない人の中に一人で置かれることも辛かったし、日中眠くて仕事が出来ないとき
 などは1日作業所にいるのは苦痛。でも、病院の仕事はたばこも吸えず更に辛い。
 GHのメンバーや病院の担当職員等が来訪すると、家族が来たみたいでうれしい。

 石越病院の職親利用者 職親制度とは」l  「あるメンバーの話」
 @自分は高齢で白内障もあり、作業所のような細かい仕事は無理だ。今のままがちょうど良い。
  アルバイトの男性メンバーの指導者と言う事で、賃金が値上げになったこともうれしい。
  でも、大卒で国家資格も持っているので、本心から満足しているかどうか・・・・?

 A昔、正社員として会社勤めをしていたが、あのころは全てが楽しかったと思う。
  だから、そのころの写真は宝物。
  10年程前に某作業所に通ったことがあり、そのときの作業所のスケジュールがきつくて再入院した
  と思っている。本人の話では、昼食時間以外休みもなく働かされた、とのこと。
  元々人見知りながらも人との交流や行事を好む人で、たんぽぽ作業所は気に入っている。
  でも、「作業所」に通うと必ず再入院する羽目になると思い込んでいる。
 
 B自分は昔から優等生で何でも出来たのに、情けない。もっとお金になる仕事を探したい。
  だから隠れて仕事を探すけど、周りに隠しているストレスや緊張から調子を崩しやすい。

 石越病院でのアルバイトメンバー
 @ずっと仕事をしてきたので、生活に慣れたら仕事を探したい。資格もいくつか持っている。
  だから、求人広告をいつも見ている。
  先日もパート募集の広告を見て採用試験を受けてきたばかり。
  でも、精神分裂病と話したら顔をしかめられた・・・・・・・・・。(残念ながら不採用)
  45歳を越えているので、職安に行っても「仕事がない」と言われてばかり。
 
 Aせっかく退院したと思ったら仕事先が無くて、病院で働くことになってしまった。
  正直言って病院外の仕事をしたい。でも、お金の心配だけはとりあえず回避されて安心した。

 B自分は入院前に事務員をしていたので(22年前)、また雇ってもらおうと思っている。
  でも、仕事を探したり就職活動をしたりするのは心細くて不安。
  また、もし就職しても、うまくやれるかどうか自信もない。

 C自分は今まできちんと働いたことが無く、入退院を繰り返してきたので仕事に対する自信はない。
  今のアルバイトでも出来ないときがあるくらいで、これ以上の仕事は無理だし自信もない。

 D自分の性格かもしれないが、一つの仕事をずっと続けることが出来ない。
  今までも転々としながらいろんな仕事をしてきた。
  今後定職に就ければそれはうれしいけど、長続きするかどうか自分でも自信がない。 

私たちは、自己完結型を目指しているわけではありません。

 GHを立ち上げたとき、仕事の場まで手が回らなかった、と言うのが正直な話です

 石越町には当時、小規模作業所がありませんでした。
 石越町は、いわゆる社会資源がとても乏しいのです。2000年9月まで小規模作業所もありませんでし
 たが、他町村の作業所ではまず受け入れてくれません。理由は、「町民でもないのに町の税金を使うわ
 けには行かない」から。運営主体がほとんど市町村である以上、これは行政の壁となってしまうのです。
 そして、2000年9月より石越町には小規模作業所が出来ましたが、やはり、町民以外は受け入れない
 模様です。

 職親はなかなか適当な事業所が無く、開拓中です。
 職親は町内に石越病院しかなかったし、県内の職親りストを取り寄せてメンバーの希望を聞いてもみま
 したが、メンバーの希望するところは遠すぎて通えませんでした。
 それに、たとえ通えても、ほとんどの事業所では補助金の範囲内でしか賃金を出せません。だから、交
 通費の支給はまず考えられません。でも、不況の現在、交通費の支給を要求すること自体、失職につな
 がります。往復1500円の交通費をかけて通い2000円の日給をもらっても、手元には500円しか残り
 ません。就労意欲を持て、と言う方が無理でしょう。(職親の補助金は、現在1日2000円までです。)
 また、GH立ち上げに伴って町内の職親の開拓を呼びかけましたが、町長出席の説明会でも集まった事
 業所は少なく、まだまだ啓蒙が足りないと感じました。ともかく制度自体が理解されていませんでした。
 従って、職親に登録する事業所はほとんど無く、これからも引き続き呼びかけていかなければいけない
 事です。

 職親があっても県の予算が厳しく、なかなか新規の訓練生が登録できません
 最近、ようやく町内でも職親に登録するところが出てきましたが、県の予算がなければ、訓練生の人数
 は増えません。そして、今の県の財政状態では、現行人数の確保がやっとのようです。
 そういった意味では、有名無実と言っても良い制度になりつつあります。
 労働省の最低賃金除外の制度が精神障害者にも適応されることは知っていますが、それを職親のような
 期限付きで、別途に準職親制度の様な形でやってもらえると良いなと思っています。
 職親からすんなりと一般就労に移れる人ばかりではないし、同じ管轄の制度の方が使いやすいとも思う
 のです。でも、行政は制度があれば良いじゃないか、という考え方しかしないようです。

 ステップ方式が必ずしも必要であるとは思いません。
 案外、最初の一歩がうまくいって、そのまますんなりと仕事に就いてしまう人もいるだろうと思います。
 それならそれでとっても良いことだし、その人の自信にもつながります。
 だから、仕事の最初が作業所や職親である必要は必ずしも無いし、退院したらまずデイケアから、などと
 考えることは必ずしも正しいとは考えません。

 でも、いきなり、いわゆる一般就労をするのにはちょっと無理がある場合が多いものです。
 ただ、長期間入院していた人が働こうとしたときその不安と緊張はとてつもなく大きなものとなり、この
 病気と長いつきあいがある人ほど、そのストレスがどれだけ自分の精神の安定に影響を及ぼすかを知
 っているので、最初の一歩を踏み出すにはものすごい勇気と決断が必要になります。
 そして、実際ストレスから調子を崩す人は多いものです。
 そういったことを受け止めてくれる場所は、なかなか見つからないのが実状です。

 精神に障害を持った人に理解のある仕事の場があれば、それに越したことはありません。
 やはり、その代表的なものが、いわゆる小規模作業所や職親と言ったところでしょう。
 そして、それらに選択の余地があることがとても重要だと思います。でも、現実はなかなかそうはいきま
 せん。作業所はどこも似たような作業内容だし、収入も少ない。これは、作業所を運営しているほとんど
 の方々も憂えている部分です。しかも、一つの町に一カ所以上はないのが普通です。
 職親も、精神に障害のある方に対する認識の度合いにはかなり大きな開きがあります。
 詳しくは書きませんが、3日間休んだからと言って即クビにされることもあり、これでは訓練の意味があり
 ません。

 実は、病院で作業所を作ろうか?と言う話もありました。
 場所やとりあえずの仕事の内容も最初考えましたが、これはあくまでも窮余の策で付け焼き刃的なもの
 でした。それだけに、あまりにも自己完結のし過ぎて、どうしようもないときに考えることにして、棚上げに
 してしまいました。メンバーの声にもあるように、せっかく退院したのに病院からいつまで経っても離れられ
 ないなんて、嫌だろうと思うのです。
 また、「病院の施設に入れてもらってるんだから、病院の用意した仕事しかしてはいけない。」という誤解
 を招いてしまいます。
 このことは、私たちの真意が伝わるように繰り返しメンバーに説明していますが、内心どう思っているか
 まではわかりません。

 でも、何か良い考えが浮かべば、もっと建設的な仕事の場を考えていきたいと思っています。
 いろんな形があって良いし、また、あるはずだ、と思っています。
 市町村と違って病院が運営主体なら、行政の壁は乗り越えられます。
 周辺の町村とも連携をとって様々な活動を行っていくことは可能、と考えています。

就労は必ずしも必要なものとは考えていません。

 社会的自立とは、必ずしも一般就労を意味しません。
 これは、いわゆる当事者も周りにいる人たちも誤解していると思うのですが、「結婚すれば一人前」とか
 「一般就労をして自活して一人前」とかいったいわゆる世間一般の考え方にとらわれてはいけないと言う
 ことです。その人が心底そう思っているならそれはそれでかまわないのですが、全員が全員、そう思って
 いるわけではないからです。
 当たり前のことですが、自分の物差しと相手の物差しは違うのです。その人がその人らしく生き生きと
 生活できること、その人が一人の人格として尊重されることを目指していけば、自ずから社会的自立に
 つながっていくように思えます。それで良いと思っています。
 
 絶対に働かなければいけないものではない、と言う事を分かって欲しいのです。